薔薇の棘と黒いかまきり【短編】
小さなお願い
「かまきり、私、死ぬのかな」
「死にはしないよ。医者へいこう」
「いいの。行きたくないの」
かまきりは何度も私に医者へいこうといってきた。
医者になんか行きたくない。
町になんかでたくない。
誰にも会いたくない。
私は、かまきりが傍にいればそれでいい。
かまきりが傍にいるならこのまま死んだっていいの。
「私はあの時死ぬはずだったんだから」