薔薇の棘と黒いかまきり【短編】
「私からの小さなお願い、かまきり、私の首を切って」
「できないよ、できない。そんな大きすぎる願い叶えられないよ」
私がせき込むと、かまきりは泣きそうな声で大丈夫かい、大丈夫かい、と言った。
「ねえかまきり。死ぬなら私、あなたに恩返ししてから死にたいもの」
「私のせりふだろうそれは……」
「私かまきりのおかげで毎日楽しかったの。綺麗な薔薇ももっと綺麗にみえるくらい楽しかったの」
私はかまきりの腕を優しく握った。
「せめて呪いを解いてあげたいよ」
「薔薇の姫、私は君を愛してるよ。愛する姫を殺してまで呪いなんか解かなくていいんだ」