妖魔04~聖域~
その後、妹は姉のことを責めることはなくなりました。

姉は仕事を辞める決意をしていましたが、妹にとって姉の生きがいを奪うような気がしたのです。

合わない辛い仕事で元気のない顔をするよりも、笑顔であって欲しかったのです。

胸を痛めるかもしれません。

しかし、姉の輝かしい姿を見る事が幸せだと気付きました。

姉の一部分しか見えてなかった妹ですが、距離を離して見れば姉が笑顔で帰って自分の仕事の事を楽しそうに話してくれる事に気付きました。

だから、妹は姉に辞める事を取りやめさせました。

自分の身勝手な理由で相手の人生を曲げることは、何も見えていないだけで愛してはいないと思ったのです。

「私は姉さんの温もり、優しさがあるならそれでいいんだ。どんな形であろうと私は元気になれる」

妹がそう納得した時には、姉と同じく輝かしい笑顔がありました。

姉は妹の涙を忘れず、寂しい思いをさせないように努力することを誓いました。

「あの子が楽しい日々を送れるように頑張らなくちゃ」

共に暮らして進んでいた日々。

姉妹の美貌は進化し、特に姉は日々自分の見せ方を考え、妖艶さも増していったのです。

妹は自然な形で可愛さを増していきました。

毎日、毎日、幸せな生活が続くはずでした。

しかし、男達が放っておくわけもありません。

自分のモノにしたいと、アプローチをかけてくる人たちが出てきます。

妹は姉のことが好きでしたから、一刀両断で断っていました。
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