妖魔04~聖域~
「本当にそんなことをするの?」

「くく、嫌ならいいんだ。助けられなくなるだけだからね」

「嫌じゃない。でも、正直信じられない」

妹からすれば、魔法ではないかと思える程でした。

「知らない事を受け入れることも大事なことだがね。さもないと、村人のようになる」

村人は妖魔の事を知らなかった故に、魔女と断定してしまいました。

「お願いがあるの」

妹は何か思いつめた顔をしています。

「何かね?」

「儀式が成功したのなら、私を姉さんの体に移して欲しい」

「どうしてかね?」

「元凶を消せば、村人は一先ず安心すると思う」

「いいのかね?お姉さんの体の事を勝手に決めても」

「多分、喜ばないし、怒るかもしれない、私を嫌うのは確かだよ。でも、姉さんには助かって欲しい。命を繋いで欲しい」

妹は姉の頬をさすりながら、優しい顔で見下ろします。

「荷物は少ないほうが助かる確率は上がるよね?」

「もちろん。それは君が選んだ愛かね?」

「解らない。でも、時間稼ぎになるならやっておきたいことは全てやる」

妹は村を出たときから、死を覚悟していました。

「もう一つお願いがあるの」

「何かね?」

「そんな不思議なことが出来るのなら、思い出をどうにかすることも出来るよね?」

妹は更なる要求を少年に投げかけます。
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