妖魔04~聖域~
「もう一つ、姉と妹、本当に一人しか助けることが出来なかったのか?」

多数の男達を相手にしたというのに、村人を払いのける事が出来なかったのか。

「彼女が望んだことだからねえ」

「望んだ望んでない関係なくだ。助けられたんじゃないのか?」

「どうだろうねえ」

助ける気はなかったというのか。

「もし、二人移動させるのが辛いのであるのなら、コアだけ持ち出せばなんとかなったんじゃないのかよ?」

「空気に弱いと言ったはずだ。それに、君は残酷な事を言う」

「どういうことだよ?」

「宿主はどうやって探すんだい?」

「契約を果たせば、問題はなかったのではないのか?」

「チューナーの術式が確立したのは最近だ。だから、不可能。それとも、別の妖魔からコアを抜き取って入れるのかい?」

どちらかの肉体を犠牲にする選択しかなかったのか。

「3人で山道を降りるのは?」

「ピクニックだったらね。でも、暗くても彼らのほうが山を知っている。ニオイを嗅ぎ分ける犬だっていただろう、すぐに追いつかれていたよ」

妹が犠牲になることは必然だったというのか。

妹は死んでしまったほうが楽だと思ったのか?

ロベリアが自分のほうを向かないから?

これから先、同じようなことに遭うと思ったから?

ロベリアの命を引き伸ばすという以外にもあったはずだ。

今となってはわからない。
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