妖魔04~聖域~
「傍にいて、俺はずっと気付かなかったのか」

今、言い訳をしたところで意味はない。

「ライン、お願いがある。お吟さんのコアを正常に戻してくれないか?」

俺には、彼女の痛みを取り除く事は出来ない。

探求者であるラインならば、可能なはずだ。

「いいだろう」

「本当か?」

簡単に俺の願いが通ったのは怪しい。

「君は、広目に愛を捧げているのだろう?」

先ほどからお吟さんの事を広目と呼んでいるが、どういった関係なのか。

「直せるのなら、お願いしたい」

「私としては問題はない。ただし」

「ただし?」

「ナンバー00のデータをしばらく取らせて貰う」

偽善者ではないとは思っていたが、ここぞとばかりに交換条件を出してきた。

「ロベリアを戦いに巻き込めと?」

戦いには巻き込みたくはない。

だが、ロベリアの気持ちを考えると、俺の考えを頭ごなしに押し付けてしまうのも嫌だ。

「君とナンバー00に対する答えを言わせてもらえば、ナンバー00の安寧は君の傍にいる事で発生する。しかし、君は戦に身を置き、強さを求めるためにチューナーとなった。戦が生じた時、安寧の元である君を死なせないためにナンバー00なら喜んで君のために力を貸す。必然と君は変身して戦わなければならない」

ウダウダ言ってる暇はない。

きっと、ラインの言うとおりなのだろう。

ロベリアを戦いに巻き込まないために他の契約妖魔と契約しなおす事もありだが、今は交換条件を飲むしかない。

「解った」

「では、取り掛かろう」

ラインが動こうとすると、ナンバー01が近づいてくる。

「博士」

ナンバー01がラインに耳打ちする。
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