妖魔04~聖域~
「オデがチビを貰う!」

鉈巨人が一番に走り始めた。

その後に続く、妖魔の群れ。

「お前達は研究所の奴らを無差別に殺すつもりなんだな」

顔を挙げ、敵を睨みつける。

「なら、俺も加減する必要はねえな」

『後方一メートル内、敵出現』

刹那、背後に妖魔が現れる。

後ろを見る事無く、一気に前へと走り出す。

背後の妖魔の攻撃を回避し、鉈巨人の傍に辿り着く。

鉈を振り下ろす巨人。

「力比べする気はねえよ」

鉈をサイドステップで避けてからの、片足を青光剣で一刀両断する。

鉈巨人が倒れると同時に側面に敵が登場する。

多分、背後に現れた妖魔なのだろう。

全身がクリスタルで出来ており、速さを売りにしているらしい。

そして、虫眼鏡のように光を反射させ、熱ビームを放つ。

「ち!」

四方八方に飛び散るビームを、掠りながらも避ける。

辺りにいる敵妖魔達にビームが当たった。

徒党を組んではいるが、決して仲間ではないという事だ。

しかし、クリスタルの動きの速さは、俺以上のモノがある。

移動するなり光の反射をする。

出来る限り敵の影に隠れながら移動していたために、敵側の被害は増大する一方であった。

この間に、光を打つ寸前に数秒間、動作の停止を発見する。

敵を巻き添えにするのは、俺の作戦である。

「ロベリア、クリスタルの次に出る場所の予測は出来るか?」

『王子様、未来の地図はすでに広げられた』

「よし、頼むぜ」
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