妖魔04~聖域~
上空に上がれば、炎と衝突。

「ぐ!」

装甲によって耐熱度は上がっているが、熱さは免れない。

焼き豚になりかけになりながらも、俺は地面に立つ。

しかし、呆けている暇もなく、地割れが起こる。

「くそ!」

巻き添えを恐れてか、他の妖魔達は近寄ってはこない。

だが、避けつつも、気付かれないように妖魔達に近づく。

辿り着いた時には、地割れによって落ちていく妖魔もいるようだ。

『東に三、北に五、その位置に地割れ妖魔、存在しています』

今のはロベリアの声ではない。

研究所付近に感じるのはナンバー01の気配。

俺に声を届かせる事が出来る。

烏合の衆の中から、地割れ妖魔を見つけられるのも凄い。

サーチ能力では、ナンバー01が優れている。

「ありがとよ」

二つの攻撃を敵を盾にして避けながら、俺はナンバー01の教え通りに近づいていく。

地割れ妖魔の元に到着し、剣を振り下げようとした時。

「ひ!?」

怯える瞳を持った、子供の形に変鎖した妖魔が目前にいた。

自分が殺されるとは思っていなかったようだ。

「くそ!」

加減はしないと言っておきながら、俺は剣を止めた。
< 117 / 330 >

この作品をシェア

pagetop