妖魔04~聖域~
ゲームの攻撃中にキャンセルを起こしたような速さなので、回避ができずに足を払われ不安定な形で宙に舞う。

地に片手を付き回転しようとするが、筋肉妖魔はチャンスを狙っていたようで拳を放つ。

「ち!」

少女に守る形でいると、腹に拳がめり込んだ。

「ごええ」

メガトン級のパンチは俺を後方へ吹っ飛ばす。

人間の状態で喰らっていたら、内臓が破裂していただろう。

『王子様、二兎追う者は一兎も得ず』

ロベリアは少女を放せと言っているようだ。

「ロベリア、悪いがそれは出来ない」

『王子様、死の世界に向います』

「お前と一緒に闘ってるってのに、我が侭いってすまない。でも、どうしても、この子を殺す事が出来ない」

相手の妖魔を多数殺しているのは事実。

矛盾と詭弁が織り成している。

「くそ!」

相手が追い討ちをかけてこないのは、炎が目前に迫ってきているせいだ。

咄嗟に空中へと少女を投げる。

ライナー状で飛んでいるところを、逆さ状態で地面に手を付き地面を押し上げた。

刹那、炎が真下を通っていく。

俺は宙を舞い、滞空していた少女を掴む。

『王子様、委託申請』

「俺もそうしようかと思っていたところだ!」

「どうする気だ、止めろ!」

訴えは無視し、目的地へと的を絞る。

「ナンバー01!!こいつを受け取ってくれ!」

少女を研究所付近にいる、ナンバー01に力の限り投げつけた。

悲鳴を上げながら、ナンバー01へと委託されたようだ。
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