妖魔04~聖域~
お吟さんの腕は確かだ。

「俺はラインに話を聞く。ロベリアもお吟さんについてくれ」

お吟さんに少女を渡して、ラインの元へと歩いていく。

ラインは何も言わず、誰も入ってきそうにない一室にまで案内した。

ドアのところにカードリーダーがあったが、特別仕様なのかもしれないな。

大きな机を挟んで、俺と対峙しているラインとナンバー01。

「チューナーや契約妖魔は、自分の事を特別な存在だとでも思っているのか?」

「彼らと同じ存在となった君はどうだい?」

「変わりはない。ただの旅人だ」

「君は多くの経験をしたからそう感じられる。だが、彼らの見ている世界はまだまだ小さい」

「年を食っていても、見た目の小さい子をいじめることに躊躇いはないのか?」

少女だからといって、年齢が少女のままとは限らない。

「彼女の力には畏怖せざるを得ない」

「大きな穴を開ける力か」

地割れを起こしていたが、別の考え方をすれば穴を開けるだ。

「使い方次第では別世界へ繋げることも出来るね」

「別世界、信じがたいな」

もし、少女の能力の凄まじさに誰かが気付いてしまったらどうなるだろう。

利用する者が現れてもおかしくはない。

ラインは平然と語っているが、何かしらの魂胆を秘めているか。

「それはさておき、彼女の位置は昨日までどこにあったかだよ」

「イヴァン=カナシュートという大妖魔が用意した兵隊だ」

「畏怖する力を持ち、敵だった彼女が食事をとっている。見る世界が狭い彼らは気に入らないのだよ。それがね」

「手術を受けたチューナー達は、普通の人から見たら恐ろしい力を持っている事を解っていない」

もし、人間達に集団で酷い扱いを受けたらどうするんだ。

自分が受けて嫌なことくらい想像がつかないのか。
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