妖魔04~聖域~
「教育を受けなければ、何が良いのか悪いのかくらい解るだろうに」

「君に説教を貰い受けるとはね」

「誰だって言いたくなるさ」

力だけ持っても、役に立たせる事は出来ない。

「調整は必要になるねえ」

「力でねじ伏せるんじゃない。口で教えられる事を教えろよ」

「そうしようか。それで、君は今日発つのかね?」

「その前にハンスの事と昨日の事を聞いておきたい」

起こった惨事について、聞き逃せばさらなる被害が増える。

「まずはハンスの事だ。完璧に近い不死身って事だったが、穴があるのか?」

「あるといえばある」

「もったいぶらずに教えてくれ」

「蓄えた血を失った時が破滅の時だよ」

蓄えているという事は、誰かを殺す事によって増えたりするわけか。

「あの剣にでも蓄えてるのかよ?」

剣が消滅すれば血もなくなる。

一度、光によって全てを消滅させたのにも関わらず、生きていた。

「ハンスと剣が消滅しても蓄えられた血は少量ずつしか減らないのか?」

「彼の仕組みは不思議なものでね、別の場所に血が蓄えられており、存在が消えたとしても全ての血が無くなるわけではない。量の変動はあるだろうがね」

ならば、復活したところを、殺し続ければいいというわけか。

「だが、減った血液は他人のもので補給すればいいだけの話だ。彼にとって、それは容易い事を君は知っているだろう?」

大剣を一振りすれば、人間や妖魔はいとも簡単に死んでしまう。

確かに、そうすれば血液が減ることはない。

逆に考えれば奴と一対一の長期戦で戦えば勝つことは可能だ。

何回も殺さなければならないけどな。

「さらに上質な血になれば、人間の血の数倍の回復量になる」

「血に良いも悪いもあるのかよ?」

「同族の血だよ」

人間ではないとすれば、妖魔だろう。
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