妖魔04~聖域~
「絶対的な不死身じゃないだけでも、良い情報だ」

勝てる見込みがある。

決してゼロではないが、出来るか?

しかし、ラインが最初に言っていた、ハンスの倒し方は研究所にはないという言葉が気になる。

「君が欲しがる情報はそれじゃない」

「決定打を与える方法が他にあるのか?」

「どんな物でも決して完璧という事はなく、どこかしらに欠点は存在する。そして、君が来てから過去の研究の履歴を調べたのだよ」

「ラインが協力的だとは思わなかったよ」

「過去の良作を未来の良作が打ち壊すことが私の楽しみでね」

「そうかよ」

ラインは命を弄ぶ科学者だったということを忘れていた。

他人の願いを叶える変わりに、他人の命を貰い受ける。

悪魔たる資格はすでに手に入れている。

自分の美学に基づいた行動はどれだけの者を喜ばせ、地獄へと叩き落すのか。

だが、ラインの協力がなければハンスに勝つことが出来ない。

「不満に満ち溢れた顔をしてるが、聞くかい?」

「簡単に倒せる方法があるのなら聞いておく」

「彼は体を棄て魔剣へと転生した。これはいいね?」

「ああ」

『彼』というところ、魔剣は男だったようだ。

「契約していた彼はこう呼んでいた。魔剣『グレイマン』とね」

「名前なんかどうでもいいんだよ」

「だがね、名前が重要になるのだよ」

「は?」

「対になる聖剣の彼女の名前がね」

ラインが名前を重要視するなんて、思いもよらなかったな。
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