妖魔04~聖域~
「名前はなんていうんだ?」

「『マリア=マティー』」

「マリアといえば、聖母と同名か」

「魔を退けてもよさそうじゃないかね」

「でもよ、その子がハンスみたいな凶暴な奴と闘えるのか?」

「彼女自身に闘える力はない」

元より契約妖魔であるならば、契約して俺が戦えばいいだけの話か。

「契約するしかないのか」

果たして、彼女が俺と契約をしてくれるかが問題だ。

「マリアの能力って、何なんだ?」

ハンスを押さえ込む力とは、どんな物なのか。

「『契約破棄』さ」

「聞く限りじゃ、チューナーと契約妖魔にしか効果がなさそうだけどな」

「表面だけで考えればそうだが、実のところ、妖魔と魔力との契約も切られる」

「魔力を断たれた妖魔は能力が使えなくなるっつうことか?」

「便利だろう?ただし、彼女が相手に傷をつけなければならない」

「思ったんだけどよ、マリア自身が攻撃しても意味がないということかよ?」

「彼女が能力を使えば意味はあるが、闘いに向いてない」

「だから、闘う力がないといったのか」

マリアがロベリアのように快く協力してくれればいいんだがな。

断られたとしても、保険はある。

能力的にはダブっているといってもいいのか。

いただけないのは、馬鹿という部分だ。

「傷をつけるっていうのは簡単すぎやしないか?」

「簡単かい?」

「かすり傷でも傷の内に入るじゃねえか」

「残念だね。コアに傷をつけなければならない」

「難しすぎるだろ」

外部のコアならまだ何とかなるが、内部に存在するのなら難しい。

契約妖魔のコアになれば、確実に内部に存在することになる。

ハンスの中にはコアがないとすれば、グレイマンのコアは大剣の中だろう。
< 135 / 330 >

この作品をシェア

pagetop