妖魔04~聖域~
手の青光剣が異様に大きくなっている。

近づいてきた妖魔が剣を振り下ろそうとするが、剣ごと体を真っ二つにする。

無言のまま、自ら始末に動く。

ある時は体内から内臓を引きずり出し、ある時は切り刻み惨殺。

炎が前方から飛来すると真っ二つにし、他の妖魔を無視して走り出していく。

無視してという言葉は間違っていた。

寄れば、青光剣を振るって切り刻む。

相手が次の行動を取る暇もなく、頭から一刀両断で炎使いを始末する。

まだ、悲惨な状況が続く。

鬼が弱き者を狩るような勢い。

かかって来る者は惨殺、逃げようとした者も惨殺。

地獄絵図に等しい状況だった。

ただ、幽鬼のように何も物を言わず、殺し続けるだけ。

全ての敵をバラバラにすると、動きを止めた。

俺の意識が回復したのだろう。

「暴走という意味がわかったかな?」

「何でこんな事になったんだ?」

今の映像で冷静さを欠いてしまう。

「君の感情の高ぶりが彼女の憎悪の部分に繋がったのだよ」

「何?」

「君が感情を高ぶらせる事で、封のされた記憶がぶり返した」

「記憶は消したんじゃないのか?」

「君は記憶を直接いじくったわけじゃない。それはそれで試してみたいがね」

「一体何をしたんだよ!?」

「負担が少ないように別の記憶を徹底的に刷り込んだ」

今は元のロベリアに戻っているところ、一時的な事なのだろう。
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