妖魔04~聖域~
「その通りだ。それでデータは得られた」

悪びれた様子を見せない。

「彼女は機会を得て復讐出来た。無意識の彼女が起こしたから、感じる物はないかもしれないがね」

「姉妹で生きていた頃の村人達じゃないんだろ?」

どれほどの時間が経ったのかは解らないが、人間達の生きる時間は限られている。

「時間が経てば人間も風景も変わる。変わらないのは村を包み込む空気だけだ」

空気を覚えていた体と記憶は、暴走を起こした。

ラインは満足するためだけに幾人もの人間は犠牲になった。

だが、ラインのロベリアは助かった。

複雑な心境だ。

ラインは悪魔であり、人間は自分の心を満たすための道具に過ぎない。

これからも、玩具を増やすためのデータ収集と模した悪魔の宴を行うのだろう。

話が終わり、部屋から出る。

廊下にはお吟さんとロベリアと少女が立っている。

皆荷物を持っているようで、出立の準備は出来ている。

「待たせたか」

「抱き心地の良さをじっくり感じれたからいいアルよ」

頬が少し紅くなっているところ、余計な運動をしてきたのだろう。

「ロベリア、嫌だったら断れよ」

「王子様の大事な人、それはワタシの大事な人」

「良い子だ」

頭を撫でてやると、俯き加減で笑顔を見せる。

傍にいる少女はガーゼや包帯を巻いており、悔しそうな顔を見せている。

「お前、何でやり返さなかったんだ?」

「あんな団体でいっぺんにこられたら何もできねえんだよ」

少女は憎悪をぶつけるように、睨みつけてきた。
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