妖魔04~聖域~
「悪かったな」

「え?」

「お前がいじめられたのって、俺のせいだろ?」

気をつけていれば、少女に危害が及ばなかった。

それに、捕獲したのは俺だ。

「うるへえ!被害者ぶんな!悪いのは敵のオラだ!オラがこんな場所にいたから悪いんだ!」

「怒るな怒るな。飴上げるからな」

「ロリコン!子供扱いすんな!」

口では貶しながらも、俺の手にあった飴を奪う。

「ギャアアアアア!」

近くで悲鳴が起きたかと思うと、少女が痙攣している。

「すまん。青いジャム配合の飴だったぜ」

近くの村で貰ったわけの解らない食べ物だ。

危険な物ではないのかと思い、廃棄しようとしていたのを忘れていた。

「仕方ねえな」

少女を担ぎ上げ、研究所の出口へと向かう。

出口には誰もいない。

研究所の住人が何をしているのか気になったが、用がないので知る必要はない。

外界は、昨日と同じ青空が広がっていた。

惨殺された死体は綺麗に片付けられている。

多分、研究所の奴らが後片付けをしたのか。

「そういや、聞き忘れてたけどよ」

後ろを付けてきた、ラインへ聞く。

「何かね?」

「マリアのいる場所ってどこなんだ?」

マリアというからには、アメリカ付近になりそうだ。

「日本だ」

「本当かよ?」

作業が省けるな。
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