妖魔04~聖域~
しばらく考えているお吟さんに、不安が募っていく。

「靜丞がいるアルか。面倒アルなあ」

俺の中の何かが崩れていきそうな気がした。

「そうか」

色々ブルーになることはあったが、今日のはダークブルーだ。

群青を重ねていって、どす黒く変わる。

ブラックという境地に達していてもおかしくはないだろう。

「お前はアチシのお気に入りアルからな。簡単に手放すのも勿体ないアル」

喜びのあまり、少女を手放してお吟さんに抱きつく。

「むべ!」

少女の悲惨な訴えを聞くことなく、お吟さんを強く抱きしめる。

「ありがとう」

「技術面は大人になってきたのに、お子ちゃまな部分が見えるアルなあ」

困ったように答えるお吟さんだったが、嫌がっているわけではない。

「無視してフィーリングしてるんじゃねえ。余計なもんは食わすし、どういう神経してるんだ」

少女は今だに痺れが取れていないようで、うつ伏せぶ寝そべったままだ。

「痺れるほどの上手さだったろ」

「うるへえ!この犯罪者!」

少女が訴える物の、起き上がる事はできない。

「世話になったな」

「こちらこそ」

ラインはデータを取り終えた俺には興味はなくなったのだろうか。

「君の能力にはまだまだ秘められた部分はある」

「相手を切る刃だけじゃないって事か」

「お菓子の景品は開けるまでが楽しみなのだよ」

「全部の玩具を見ていないのに簡単に手放すとはな」

「興味は尽きないが気にしないでくれたまえ。私には他にも仕事があるんでね」

俺が来るまでは別の仕事をしていたのかもしれない。

邪魔をしたような、別の手伝いをしたような感じなんだろう。

悪魔の少年は次は何を作るのか。

俺はすでに過去の作品となってしまった。
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