妖魔04~聖域~
未知の世界

お家

「着いたか」

何時間もかけて到着した、任務が行われる場所らしい。

車から降りると、辺りは暗く静けさに包まれていた。

先には大きな建物がある。

幾つもの窓があり、光が漏れている場所とない場所がまばらにあった。

「あんたはどうする?」

どうすると言われたところで、他に頼れる妖魔がいない。

泊まる所はないしお金もない。

「野宿だ」

「あんたみたいな野生児だと、野宿はぴったりよね」

「面倒な事をしたくねえけど、やるしかないんだよ」

冬狐に頼めば三倍で返さなくちゃならない。

面倒だ。

「お姉ちゃん、今帰ったんだ」

声をかけてきたのは青みがかった髪の長い女だった。

黒のワンピースで夜に紛れている。

良く見ると、最近まで妖魔の里にいた冬狐の妹だ。

「ただいま」

冬狐の妹といえば、飛鳥に権利を譲られて先に保守派として派遣されたはずだ。

「刃さん?」

いるはずのない者がいれば驚きを隠せないのは当然か。

「笹原の妹か。何年ぶりだ」

「私もよくわからないけど、本当久しぶりだよね」

笹原の妹には過去に一度か二度ほど会った事がある。

里にいても顔を会わす事がないから、久方ぶりになる。

あの時はチビだったが、今は立派な保守派として活動しているようだ。

面倒な事だがな。
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