妖魔04~聖域~
最終的には亀裂が入る事になるだろうな。

今は事を荒げる必要もない。

しかし、飛鳥とは腐れ縁が切れていないらしい。

「じゃあな」

「野宿するの?」

野宿といえど危険な事はない。

近づいてくる気配は寝ている時でも感じ取れる。

不審なニオイを嗅ぎ分けて、怪しい奴なら始末するだけだ。

「何か問題でもあるのか?」

「あるよ!ねえ?お姉ちゃん」

「何処にもないわよ」

冬狐は車を運転してきて疲れているのか、面倒くさそうな顔をしている。

妹も構わずに、姉を家に帰らせてやればいいのにな。

「美咲、私は眠いから先帰っとくわよ」

「うん、ゆっくり休んでね」

冬狐はマンションの入り口へと向っていった。

「俺も」

立ち去ろうとしたが、腕が掴まれている。

「駄目だよ」

「どうしろと?」

飛鳥とは別の意味で面倒くさい女だ。

「家にきなよ。寝る場所なら余ってるから、ね?」

「世話になったら、冬狐に何を言われるかわかったものじゃない」

恩を着せ、何かをさせられるのがオチだ。

「大丈夫だよ。お姉ちゃんもそこまで鬼じゃないからさ」

「そこまでね。妹のお前でも鬼だと思うことはあるわけだな」

「今のは気にしないで」

「俺の事も気にするな。面倒な事は嫌いなんだ」

「駄目!これも私の任務なの」

改革派を保守派が見張るという行動か。
< 147 / 330 >

この作品をシェア

pagetop