妖魔04~聖域~
感触を確かめるために何度も腕の力を込めたり、緩めたりする。

気になって眠りにつく事は出来ない。

止めないと、勘違いで何をされるかわかったものじゃない。

「おい」

首だけでも振り向こうとしたら、近づいてきた顔によって不意に唇がくっついてしまう。

「む」

数秒後には離れたものの、軽いキスをしてしまったようだ。

「美咲、ずっと一緒だよお」

寝ぼけた声で、娘との愛の寸劇を繰り広げてるらしい。

何で娘にキスをしようとしているんだ。

「このキス魔が」

蔦のように巻きついた腕を解いて、体を回転させると裸の笹原姉妹の親がいる。

目を閉じて眠っているようだ。

「露出に興味があったのか。変わった親だな」

体力を回復するための眠りが出来ない。

無理に起こすのも厄介だ。

膝の下と背の裏に手を通して、持ち上げベットに置く。

離れようとすると、今度は腕を首に回してくる。

「やだあ、いっちゃやだあ」

「お前、本当は起きてるだろ」

振りほどく事に集中していて、顔が近づいている事に気が付かなかった。

再び唇を合わせる事になり、舌まで入ってくる。

寝ながら深い口付けなど、夢の中で娘にどんなことしてるんだ。

「道元君は離れちゃやだよ」

薄らと涙を浮かべて哀しそうな顔をしている。

いつ娘から摩り替わったのか。

今度の夢のシーンは旦那とのやり取りか。
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