妖魔04~聖域~
「気にいらないな」

人間の身勝手で、自分の生活を危うくしなければならない理由はどこにある?

「今晩のおかずは確かからあげだったな。私の大好物だ」

「人の家の献立を先回りして知っているテメエは何者だ?」

「お前の嫁だ。家具持って明日からでも嫁いでやるぞ」

腕に組み付いて、嫁気取りでいる。

「ざけんな、テメエが来たら家が傾く一方だ」

「気にするな、その時は一家心中してやる」

「いい加減黙れ!」

直下型ブレーンバスターで粉砕し黙らせる。

「テメエは現実を見ろ」

保守派とも思えない行動を起こして、何を考えているのか。

俺の傍にいるという事は、改革派の行動を見張っているのか。

優秀といわれているが、余計な事をしているようにしか思えない。

冬狐に連れて帰ってもらえば、気が楽になったかもしれない。

冬狐は冬狐で、重く圧し掛かっていた闇が少なからずとも取れているように見えた。

外界にいって、何かを体験したか。

価値のある出来事が起きたととっていいのか。

「それならそれでいい。あいつには、日輪が似合う」

「なら、私は銀河が似合う女だな」

燕は日に日にタフになっているようだ。

「もう少し寝とくか?」

「気にするな。もう半日以上は寝た気分だ」

廊下を進んでみたが、大きなフロアが幾つかあるようだ。

周囲はダンジョンと言わんばかりの造形をとっている。

コアを隠すためとはいえ、やり過ぎなのではないのか。

進んでいく途中途中で、出てくる暴走しかけの妖魔は何なのか。

コアのメンテナンスを怠りすぎたせいで、暴走しかけなのはわかった。

だが、食料も何もないのに、どうやって生きている?

どこかに生えている草でも食べて生きながらえてるとでもいうのか。

どうでもいい話だな。

襲撃する妖魔がいるのであれば、ぶん殴るだけだ。

能力など使う必要がないほどに弱い。

「強いお前に惚れたぞ」

わざとらしく頬を紅く染めて、指で胸をなぞる。
< 16 / 330 >

この作品をシェア

pagetop