妖魔04~聖域~
「ざけんな。テメエも闘え」

先頭をきると言った割には、俺の後ろで闘いを眺めているだけだ。

「私は治療しか出来ん。お前のいきり立った下を治してやってもいいぞ」

「砕けろ」

アイアンクローで沈める。

更に歩き続けて、たどり着いた広間には階下へと繋がる階段がある。

「面倒くせえ。まだ先があるのか」

「いいぞいいぞ。一秒でも長く共に出来る時間が私の至福の時だ」

迷宮の続行を望む女を抹消したい気分だ。

「俺はこんな場所から一秒でも早く出たい」

時間のロスは出来る限り、なくしていきたいところだ。

「私の貢物を探すために潜ってきたというのに、何だその態度は」

「テメエの態度は俺をイラ付かせるだけだな」

「気にするな。人との摩擦は必ずしも存在する。回避するのであれば、山篭りでもするしかない。だが、私はお前に山篭りはさせない。ヒモにさせてやってもいいがな」

自慢げに語るのだが、何の役にも立たない。

大体、燕に俺を養うだけの根性など、微塵も感じられない。

「終局に行き着け」

延髄蹴りで今度こそ沈める。

「余計な体力を使わせるな。面倒くせえ」

階下へ降りると、大広間だけで廊下に繋がる道はない。

代わりに奥の壁には大きな扉がある。

「予想外に早かったな」
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