妖魔04~聖域~
「よく似合ってるわ」

嫌味にしか聞こえてこない。

「そうだろう?これでこいつもイチコロだ」

似合ってないサングラスなど、俺にはどうでもよかった。

「人間どもの中にいろというのか?」

「犬神君は代表者としての自覚を持つべきよ。嫌な事もやらなければならない。言ってることは解るでしょ?」

「面倒くせえな」

「犬神君がそういう態度を取るのなら、強制で里に帰ってもらうわよ?」

上司の権限を活用すれば、それも可能だ。

数日後には、里の者が俺を連れ戻すだろう。

「犬神君以外にも、改革派は山ほどいるわけだしね」

「やればいいんだろうが」

苛立ちをどこにぶつければいい。

秋野は目の届く位置に置くつもりなのだろう。

「じゃあ、夢島さんと笹原さんのクラスがいいわね」

しかも、全ての妖魔を一つに集めるとはな。

監視しやすいように仕向けたか。

どの道、縛り付けられた以上は同じだ。

「それでいい」

「じゃあ、今日から三年生ね。しっかり学ぶのよ」

作った笑顔を振りまいて、背中を見せて遠ざかっていく。

「面倒くせえ野郎だな」

「すっかり、良い様に扱われてるわね」

見知らぬ場所で知り合いに出会う事が多いようだ。
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