妖魔04~聖域~
お吟さんが暴走すれば、しばらくは止められないだろう。

俺はお吟さんの気が済むまで、待つ事にした。

「あれは何をやってるんだ?」

クルトは指差しながら、お吟さん達の行為の事を聞いてくる。

一度も、見たことがないのだろうか。

少女の姿で戦場で過ごしてきたのなら、仕方がないのかもしれない。

クルトの事はまだ何も知らない。

クルトが何を知っていて、何を知らないのかも、解らない。

名前は教えてもらったが、他の事は口にしない。

「もう少し大きくなってから知れば、ドア!」

鋭い角度のローキックを膝にぶちかまされる。

「うるへえ!オラはお前よりも年上なんだよ!」

足を摩りながらも、座り込む。

「本当に知りたいか?」

「さっきから知りたいって、言ってるだろ」

「しょうがないな。あれはな」

俺はクルトに一から説明した。

クルトは真面目に聞いているようだが、恥じらいはないらしい。

恥らう行為だと認識していなければ、クルトの反応は正しい。

「でもな、今はする必要はねえよ」

「何でだ?」

初めては好きな異性とという事が一般的な解釈だろう。

本来の目的は、自分の認めた異性の子孫を残したいと思ってやるものだ。

お金や環境や子供の問題があるから避妊具という物が出来て、交わる行為で満足するしかない。

もし、出来たとしても好きな異性ならば後悔はないと、その時は思うのだろう。

後の生活で、失敗して大きな後悔をするかどうかというのは別の話だ。

しかし、好でもない異性としてはいけないという理由はない。

お吟さんのように、だ。
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