妖魔04~聖域~
「テメエといつ愛し合った?」

事実を捻じ曲げる事を平気で言える根性を別のことに費やしてもらいたいところだ。

「今、愛し合おうとしているだろう」

布団の中で服を脱いで、片手で持ち上げて誘っている。

「テメエ、何様だ?」

何で馬鹿が幼馴染なんだ?

誰が決めた?

神様か?

「俺様だ」

「テメエに似合う言葉は無様だけだ」

「そう言うな。普段は私と言っているのに、何故、俺様と断言したのか聞きたくないのか?」

したり顔が俺の苛立ちを高めていく。

「どうでもいいことをベラベラ喋るな!用件を言え!」

「せっかちな奴だ。今日はお前が人間の世界に行く日だろう」

「そうらしいな」

俺は今日、妖魔の里を発つ。

犬神 刃(イヌガミ ジン)。

俺の名前だ。

右側の前髪が少し長く、背はそこらへんにいる妖魔よりは高い。

特徴のある身なりはしていない。

夢島 燕(ユメシマ ツバメ)。

どうでもいい無駄口を叩く女だ。

「私は可愛らしいぞ。とっても、絶大に、永久に」

「解った。帰れ」

「同じ事を言い続けるとは、お前は人形か」

俺の胸に突っ込みを入れるのだが、爆発一歩手前までフラストレーションが溜まる。
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