妖魔04~聖域~
「良い。丞ちゃんは人間らしいことをしたまでじゃ」

「嫉妬アルか?なら、アチシが慰めてやるアル」

後ろから迫るお吟さんをかわしながらも、座布団に座る。

「吟も少しは落ち着かぬか」

しかし、俺と見知らぬ女の子に対する視線は羨ましそうに見える。

俺は床に寝そべらせると、姿を確認する。

髪は水色、可愛い部類に入る。

汚れてはいるが、洗えば白くなるはずだし、顔の骨格も丸さを帯びている。

「王子様、心が泳いでる」

「そんなことはない。美少女にイタズラしようなんて思ってないぞ」

視線が泳いでいるが、気にしないでもらいたい。

「しかし、どこから来たんだ」

「妖魔の里じゃろう。今年の保守派と改革派の餞別が終了して、調査するためにたどり着いたんじゃろうな」

「毎回出るのかよ」

美咲や湊先生だけかと思っていた。

「一人では仕事量が多いからのう」

「じゃあ、もっと多く送ればいいのにな」

「人間の住む世界じゃから、計画が露呈する恐れがあるが故なのかもしれぬな」

女は寝返りを打てるらしく、体に損傷はないみたいだ。

ただ、寝ているだけなのか。

「うーん」

目覚めると、目をこすりながら俺を見る。

「私は燕、お前はクズだ」

「起きて早々、失礼なことを言うね」

自己紹介と共に発せられたのは、人を小ばかにしたような台詞だった。
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