妖魔04~聖域~
「私が起きれば唐揚げが出てくるはずなんだが」

燕は周囲を見渡して、唐揚げを探している。

「状況を考えろよ」

女に怯えた様子はない。

堂々とモノを頼むところ、どこかのお嬢様なのか。

「残念ながら、私は一般市民だ。そう、名も無き一般市民」

「さっき、燕とか言ってなかったか?」

俺の近くに出てくるのはまともなのがいない。

「普通の対応ができないらしいな」

「大丈夫だ。お前の普通は当てにはならない」

「初対面なんだがな」

子鉄よりも性質が悪い性格だな。

他者は関わりあいになりたくないらしく、素知らぬふりをしている。

「はあ」

「丞、女を落とすチャンスアル」

お吟さんは面白がっているが、燕の相手は疲れる。

「大丈夫だ。私は保守派だからな」

自分の貞操でも保守しているのか。

ちょっと待てよ、コレが保守派の代表者?

「冗談にしては、洒落にならんな」

美咲と大差がありすぎて、現実とは思えない。

ふざけの権化を選抜した奴は誰だ。

「で、保守派の一般市民はここに偵察しにきたのか」

「唐揚げがないと、力が出ないよう」
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