妖魔04~聖域~
殴りたい衝動に駆られる。

「龍姫、唐揚げを用意してくれないか」

今後の方針どころではない。

「話が出来んのでは前に進まんからのう」

紅玉にアイコンタクトを取って、奥へと消えていった。

「ところで、改革派の代表者もここに来てるのか?」

止めとけばいいのに、燕に話しかけてしまう。

「私のフィアンセだ」

平然と答えているが、辛い物なのではないのか。

「違う立場にあると結婚どころじゃないな」

「残念だが、あいつは私の手中にいるのだ」

「お前が危険な女だってことがよく解ったよ」

クレイジーな女がフィアンセだと相手も可哀想だな。

しばらくして、大皿の上に乗った注文のから揚げが到着する。

白飯もちゃんと付いているようだ。

それを見た女の目は光り輝いている。

大きな机を用意すると、囲んで食事を取ることとなった。

和やかにご飯を食べられるのは女のおかげなのかもしれない。

数日、まともなものを口に入れてなかったので、手作りの唐揚げは嬉しい物だ。

フォークを持ったクルトは遠慮なく食っている。

お吟さんは普段から考えられない行儀の良さで食べている。

燕も口に溜めながらも、食を続けている。

ロベリアはお箸の使い方に苦戦しているようだ。

金髪美女がお箸を持っている映像も珍しい。

「ロベリア、難しかったらナイフとフォークでもいいんだぞ」
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