妖魔04~聖域~
この調子で行くと、すぐにでも唐揚げがなくなってしまいそうだ。

「二本の命を手の上で踊らせたい」

必死になってるロベリアを見て、いじらしく思えた。

「ちゃんと教えてやるよ」

ロベリアの手を持って、一から指導する事になった。

崩れていた持ち方も様になり、数分後にはモノをつかむ事を可能にした。

ロベリアは吸収力が高い。

「丞ちゃん、ワラワもお箸が使えん」

龍姫は箸をわざと適当に持っているのが丸わかりだった。

「後ろで紅玉が睨んでるぞ」

オーラを放っている紅玉が、龍姫を見下ろしている。

「紅玉、そなたは腹が空いておるのじゃ。食ろうて満たせば苛立ちも消える」

「龍姫様がお腹を空かせていないという事がわかりました」

「ああ!紅玉はいけずじゃあ」

紅玉は龍姫の箸を取り上げ奥へ歩いていく。

その後、躾けられた子供のように龍姫が追いかけていった。

「さて、俺も」

箸を伸ばしたところ、キャベツしか残っていない。

「おい」

クルトと燕は無視して、仰向けになって休んでいる。

「くそ、お前らは得なキャラでいいなあ」

ご飯の中にお茶を入れてお茶漬けにして食べる。

白飯だけだと哀しすぎる。

「ちゃんと食べたか?」

ロベリアに聞いてみると、静かに頷いてくれる。

残酷な仕打ちを癒してくれる心のオアシスだ。

見てるだけでも、温かくなってくる。

ロベリアには、少しでも幸せになって欲しい。

ロベリアばかりを見ていたが、お吟さんはどうなんだろう。

お吟さんはちょびちょびと白飯を突付いているだけで、言葉を発してはいない。

具合でも悪いのか。
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