妖魔04~聖域~
「あんたに一つ聞きてえんだがよ」

「戦の前に質問か、余裕じゃのう」

余裕があるわけがない。

今もジジイのプレッシャーで押しつぶされそうだ。

「嫁さんが他人に体を許してもいいっていうのか?」

「一緒にいたお前はどうだ?惚れた女が目の前で他人に体を許していたのだろう?」

ジジイも止められないお吟さんを放置していたってことか。

お吟さんの場合、叱ると逆効果なんだよな。

自分で満足させるしかない、繋ぎとめる方法はそれだけだ。

しっかり血は繋がってる。

「惚れちまったが故か」

「お前みたいな小僧が現れるとは思っていなかったがの」

ジジイの血を引いてるから惹かれている。

獣の世界では争いに勝った者が女を奪えるという摂理がある。

今は獣と同等の世界にある。

お吟さんの心を本当にするためにはやるしかないんだ。

俺は、お吟さんが好きだ。

これから守るために、ジジイから奪うしかない。

「今のままでは大差がありすぎるのう。小僧、力の行使を許可してやろう」

ジジイはロベリアと合体して、変身することを望んでいる。

何故知ってるかなど野暮な事は聞かない。

生身ではジジイを倒せない。

「ロベリア!俺は吟が欲しい!力を貸してくれるか!?」

勝つためならば、力を使う。

「はい」

力の篭った瞳のロベリアが後ろに立っている。

その他の者も見ている。

龍姫、紅玉、燕、クルトが何かを考えながら見ている。
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