妖魔04~聖域~
青光剣を地面に突き刺しながら動き、スコップの要領でジジイに向けて石を放った。

紅玉以上の威力があるとは思えないが、単なる目くらましだ。

ジジイは飛んできた石に衝撃波を放ち、砕く。

その数秒間の隙に俺はジジイの傍へと近づこうとする。

だが、今度はジジイ自身が俺の目の前に飛び込んでくる。

ジジイは生き物なんだから動くのは当然だ。

俺も攻撃をするつもりで前へ出てきたんだ。

止まる気はない。

ジジイは左拳を握っており、振り上げて体のどこかを狙っている。

「おらああ!」

青光剣を振り下ろすが、腕を拳で吹き飛ばす。

「ぐ!」

次の一撃で、ボディーにジジイの生の右拳が決まっている。

「ごほ」

俺は、吐血した。

大きな拳によるダメージがでかい。

俺は転がっていくが、衝撃波が背中にぶつかる。

体の前も後ろも痛すぎる。

だが、のんびり寝ている場合じゃない。

立ち上がると、すでに近くにジジイの姿がある。

「小僧、気持ちが萎えるか?」

つかみ出された手を青光剣で斬ろうとするが、衝撃波で弾き飛ばされる。

首を掴まれて、そのまま地面へ体ごと叩き付けられる。

「があ」

手も足も出ないのか。

「負けられねえ」

「吟を惹きつけていたのは嘘だったようじゃな」

俺の腹に足が力強く下ろされようとしていたとき、過去を思い出す。
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