妖魔04~聖域~
まずい。

考えている内に一撃を放とうと拳を出してくる。

サイドステップで避けようとしたが、拳の衝撃破はフェイントだった。

時間をずらして腹に衝撃を食らう。

「ごは」

衝撃破を抑えていても、痛みは相当だ。

このままでは勝利を逃してしまう。

『王子様、星の煌きを失わないで』

「攻撃が届かない事にはどうにもならねえ」

息も絶え絶えで、避ける事も難しい。

『九秒、守るという姿勢を』

「何か考えがあるんだな」

何をするつもりかはわからないが、策があるのならやるしかない。

青光剣が消え去った。

青光剣がなければ、あの厚い装甲を突き破る事が出来ない。

防御に徹する事しか出来なくなった。

「小僧、何を考えている?」

「さあな」

俺にも分からない。

ただ、ロベリアが頼みの綱としかいえない。

一秒一秒がとても長く感じる。

ジジイが俺を仕留めようと動き出した。

俺は逃げる事に徹しようとしたが、動きが鈍っているらしい。

簡単に追いつかれてしまった。

拳が顔面に来ると読みながら防御するものの横っ腹に衝撃が走り、くの字に折れ曲がってしまう。

「ごえ」

衝撃破の恐るべき襲来により、どうしようもない。

攻撃を食らった事により、ボディーががら空きになる。

そこに拳の一発をくらい、内臓がぐちゃぐちゃになった気がした。

今までにない吐血量で、死んでもおかしくはない。

「もう」

駄目かと思って俺は膝を地に着きそうになる。
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