妖魔04~聖域~
『モード:神速』

ロベリアが九秒経ったことを告げる。

まだ、見捨てられたわけじゃない。

次の瞬間、俺の体に重力がかかる。

何Gかはわからないが、もう一人、自分を背負っているように重い。

周囲も時を刻んではいるようで、超スローペースで動いている。

白い空間の動けるバージョンだと考えれば良いか。

『ピエロのように舞いを広げて』

今の状態で動く事は難しい。

だが、今はいつまでも続かないはずだ。

俺はもがく様に動きながら、ジジイの後ろへと回った。

その時間、約三秒。

『モード切り替え』

体が軽くなると、ジジイの拳は空を切っていた。

チャンスとしか言いようがない。

ジジイを切るには普通の青光剣では足りない。

俺の思考を咄嗟に読み取ったロベリア。

左手の青光剣は消えて、残り全ての魔力を右手に集約させた。

光源も抑え、攻撃力だけを格段に上げた刃。

俺の方を向いたジジイに振り下ろす。

だが、真正面から衝撃破が襲い掛かってこようとしていた。

「吟を、貰い受ける!」

ジジイに向って袈裟斬りを行う。

停止した世界。

それは幾千よりも長く、幾万より短い。

永遠で一瞬。

矛盾した世界だった。

だが、結果は出ていた。

「ごふ」

俺は衝撃破を食らっていた。

それでも、最後だと思い、足腰に力を入れて踏ん張った。
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