妖魔04~聖域~
目覚めた時には龍姫の部屋だった。

「いでえええええええ!」

起きた途端、体中の筋肉が悲鳴を上げて全身に痛みが襲う。

「があ、ぐああああ!」

一体、何が起こって痛みが襲い掛かってきているのか。

気絶前の事を思い出す。

ジジイとの闘いに勝ったことはいいのだが、死合い内容は最悪だった。

そのツケが回ってきたのだろう。

殴られ続けた痛みがすぐに治るはずがない。

付け加え、最後の『モード:神速』は禁忌に近い技だ。

相手がスロースピードに見えたほどだから、動作は速かっただろう。

故に、体にかかる負担は計り知れないものだ。

その時はいいとしても、今の状態が証拠となって告げている。

「はあ、はあ、ぐああ!」

全身の筋肉が引き千切られそうで、すぐにでも気を失いそうだ。

「これは喜劇だ」

薄ら開けた瞳の先に見えるのは、燕がポテトチップスを食っている映像だ。

それに突っ込むほどの元気がなくて、のた打ち回る。

「緊急の治療は結界で施したのじゃが、まだ完治にはほど遠い」

龍姫の声が聞こえてくるものの、姿を確認している余裕はない。

「そろそろ魔力が回復した頃じゃろう、そなたの力を使ってやれ」

「私は優しい女だ。どんなババコンでも治してやるぞ」

どこが優しいんだと口に出して言いたいが、悲鳴しか上げられない。

燕が傍に座り込み、股間に触ると魔力が送られてくる。

体の痛みが自然に引いていった事にはお礼を言いたい。

だが、今の状態で物色するのはどうかと思う。
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