妖魔04~聖域~
「馬並みと」

「そうアル。丞のは中々のモノアル」

吟と燕が怪しい笑みを浮かべているが、ろくでもない思考を張り巡らせているのだろう。

「痴女シスターズ、ちょっとは労わってくれ」

ほぼ完治した事で、身動きは取れる。

「王子様、星は砕けなかった」

ロベリアが涙を溜めながら、もがいている最中も傍にいてくれてたようだ。

「ロベリアがいてくれたから出来たことだ」

俺はロベリアの手を両手で握る。

「ありがとう。お前は心強い味方だ」

「はい」

ロベリアがいてくれたからこそ、勝つことが出来た。

出会えて本当に良かったと思う。

二体一で卑怯な感じもしたが、使ってもいいと許しも出ていたしな。

離れた位置で、大きな背中を見せてジジイが座っている。

哀愁漂わせて酒でも飲んでいるのだろうか。

しかし、勝った人間の近くに、負けた人間がいるのは嫌じゃないのか。

悔しいとか、顔も見たくないとか、俺が歪んでいるのか?

吟と顔を合わせ辛い気がしてならない。

俺なら、起きる前に消えるけどな。

「丞ちゃんに挨拶をしたかったんじゃろう」

ジジイは俺が気がついたことを知ったようで、こちらを向く。

険しい顔をしながら、音を立てて近づいてくる。
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