妖魔04~聖域~
「どうした?紅玉」

「改革派の目的をもう一度お考えになさってください。彼らは人間を滅ぼす事を目的としていますが、それはどうしてでしょうか?」

「そりゃ汚染物である人間を処理して、自然を元に戻すためだろう」

「どっちが上手か、言わずとも答えが出ていましょう?」

テンプルナイツ、か。

改革派は自分たちの土地がなくなってしまえば、元も子もない。

しかし、テンプルナイツにとって日本はどうでもいい。

妖魔さえ倒せれば土地が火の海になろうとも、日本国民を巻き込もうとも関係ない。

目的が第一で、手段は問わない。

実際、妖魔の村を襲い掛かってきた時には、容赦のない姿勢を見せた。

基地で見た時もそうだ。

ハンスは相手を容赦なくぶっ殺す、ガイキングだ。

刺されても、撃たれても死なない。

日本国民など、巻き添えを食らってあっという間に根絶やしにされてしまう。

退魔師と改革派が戦う場合は、お互いが母国を守りながらも殺し合いになるだろうけどな。

「じゃあ、一番危険視するのはテンプルナイツということになるか」

「そうとも言えねえよ」

「ああ、そうだったな」

クルトが言いたいのはイヴァン=カナシュートの事だろう。

「イヴァンのことは少し置いておこう。まずはテンプルナイツをどうにかしないと、日本に上陸させた時点で終わりが来る」

妖魔の里も見つけられれば火の海にされる。

森を焼き払われたら、どうしようもない。

日本の組織は消火活動で手一杯になって犯人特定まで時間もかかるし、ダミーを用意することが可能だ。

日本国内に上陸し、他国の介入が入る前に全てを片付ける方法を取るだろうな。

日本国民を巻き込んだ場合でもだ。

「くそ、最悪だ」
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