妖魔04~聖域~
「そうだな」

いいじゃないか。

急にいなくなるなんてことはないと思うけど、傍にいてくれるのが証だ。

隣に温もりがあるのならそれでいい。

相手に言葉がなくても、俺は言える。

ジイさんに勝ったことで、今なら自信を持って堂々と言える。

「俺は吟のことが好きだぜ」

「何を分かりきったことを言ってる」

吟には解りきった言葉だったのかもしれない。

「私もだ」

心臓が飛び出そうなくらいの衝撃を受けた返事だった。

順番が逆になったけど、とうとうここまで辿り着いたんだ。

四年、かかったな。

子鉄や美咲は好きだ。

ずっと好きでいるといっていた過去の自分が今の状況を見たら、どう思うだろうか。

人の気持ちは流転する。

円を描きながら、螺旋になっていく。

それは、子鉄や美咲も同じ事だ。

だからこそ、新たなパートナーと共にいるわけだ。

でも、記憶があるのとないのとじゃ違う。

やめておこう。

深く考えたら吟を心配させてしまう。

「丞、何してるアル。お前のせいでおっぱいチョコが売り切れになってしまうアル」

隣には吟がいて、不機嫌そうな声を上げているようだ。

「おっぱいチョコは物好きしか買わないし、コンビニに売ってない」

「それなら世界全国、おっぱいチョコ探しアル」

「さっきまで僕ら何やってたか覚えてます?」
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