妖魔04~聖域~

敵対

周囲は爆音で支配されている。

玉が転がる音、ピンが倒れる音、BGM、人の声。

脳みそまで響いてい来るほどだ。

今、目の前で15ポンドという女性が持たないであろう重さの玉を吟が転がしている。

ここは『三枝ボーリング場』。

何故、俺はボーリング場なんかにいるのだろうか?

起床した後に吟に連れ出され、町に唯一存在するだろうボーリング場だった。

ゆっくりボーリングなんかしてていいのかなと思う。

気付けば、上空に位置するモニターにストライクの文字が描かれている。

一回分を払うと六ゲームのセットとなっており、今二回目の十ゲーム目に突入している。

吟はとても楽しそうな顔をしている。

初めてとか言ってたけど、本当ですかと言いたくなる。

アベレージが二百八十に到達しており、プロ顔負けなんですけどね。

俺のスコアは百八十という明らかに面目が立っていない。

でも、普通にしては凄いんだぞ。

俺だって奮闘してるんだ。

もっと、こう初々しい場面が見たかったなあ。

手取り足取り教えたかったのにな。

体の感触は知ってるけど、いつも感じたい君のボディー。

「くそ、男の恥でんがな」

「禁欲生活を送っている成人男性のようにぶつくさいってるアルな。丞の番アルよ」

「ああ」

目の前で汗をかいてる姿がとてもセクシィー。
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