妖魔04~聖域~
「吟、体の痛みは?」

「ガハハ、これでお互いハンデなしで闘えるアル」

この後に控えている運動で、俺はミイラになるかもしれない。

心配を他所に燕はどこかへと行こうとしている。

「燕、ありがとうな」

「次はお前にラーメンを期待しておく」

何も聞かずに行かせようとしたが、あることを思い出す。

「ちょっと待ってくれ!」

情報を聞き出すために燕の腕を掴んで引き止めた。

「きゃ!」

燕は似合わない声と共に胸を押さえていた。

その理由を問い詰める気はない。

「妖魔の里にマリア=マティーという女はいないか?」

「極秘事項です」

感情の篭っていない声で返って来る。

「本当か?」

「極秘事項です」

一応、保守派としての立場がある以上は、里の情報は守るつもりだろう。

「からあげを好きなだけ食わしてやるし、ラーメンだっておごってやるぞ」

「しょうがないな」

何て弱いハートなんだ。

もろくも崩れ去ってしまったようだ。

「でも、その前に、大事な用事があるからな。普段、どこにいるかだけ教えてくれ」

「笹原の家だ」

美咲と一緒に暮らしているのかよ。

美咲には家を用意していたのに燕に用意していないところ、経費の削減でも行ったのか?
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