妖魔04~聖域~
「アホ娘に会うアルか?」

「久遠のことか?」

「一緒にいると余計な体力使うアル」

吟も久遠の事はいえないと思うんだけどな。

考えが透けているのか、吟の睨んだ眼差しがとても鋭く刺さっちゃう。

しかし、一族の親子三代が揃うのも珍しいと思う。

「来るの嫌か?」

「有意義な時間とはいえないアルな」

「久々の顔合わせもいいんじゃないか?」

祖母というのは孫に甘いという事はよく聞く。

美咲にも、優しげではあった事は確かなのだ。

「しかし、女ばかり生まれるのか謎アルな」

確かに、吟から下はほとんどが女で構成されている。

姉妹という形も多い。

もしかすると、吟の家系で男は俺一人なんじゃないのだろうか。

「男の孫だったら手を付けるつもりなのかよ?」

「ビンビンで男気のない奴なら興味はないアル」

それ以外なら、ありということなのだろうか。

すでに手を付けられているんだけどな。

「一緒に行こう。あそこの家に行くのは吟が必要不可欠なんだ」

何とか吟を説得して、マンションの中へと入っていく。
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