妖魔04~聖域~

一族

笹原一家の家の前まで到着した。

「はーい」

チャイムを鳴らすと、扉の向こうから声が聞こえてくる。

声からして美咲だ。

「アホ娘ー、会いにきてやったアル」

「どちら様ですか?」

他人の家に来ていきなりアホ娘はないだろう。

今は笹原一家と知り合いの吟が俺の前に出ている。

俺が頼むと、渋々引き受けてくれた。

俺の都合につき合わせて、吟に悪い事してるよな。

自分の意思で来たいとは一言も言ってない。

「あれ、おばあちゃん!?」

美咲が驚きの声と共に、扉を開ける。

そこには、黒いワンピースの美咲がいる。

子供の頃に見た光景の美咲がいるようだった。

「アチシはまだ現役アル」

吟が美咲の後ろに回りこんで、耳を噛む。

卑猥な映像が目の前に流れているが、眺めておこう。

「ちょ!やだ!吟さん、止めてよー」

服を半分脱がされた感じのところで、おばあちゃんと呼ぶのを止めた。

「アチシを傷つけるとこうなるアル」

「はあ、はあ」

甘い吐息を吐きながら、服の乱れを整える。

「吟さん、ほんと、どこに行ってたの?お母さんが会いたがってたよ」

「アチシはどっちでもいいアル」

「そんなこと言うと、お母さん、悲しむよ」

寂しそうな顔をした後で、俺と目が合う。
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