妖魔04~聖域~
何も食べる気にならなくて泣いてた記憶がある。

結局、どうやって助かったのかは解らなかった。

帰りは暗闇に包まれており、親に怒られた。

良いのか悪いのか解らない幼少時の記憶であるが、どうやって九死に一生を得たのか。

「私は眠っている時、天使のお告げを聞いたんだ」

「面倒くせえ嘘は止めろ」

「かの者はこう言った。『死ぬのはまだ早い』と」

嘘かと思いきやいつになく真剣みがある話だ。

「起きた時には何があったのか自分でもわからなかったけど、一匹の魚が用意されていた」

不思議な現象だ。

誰の仕業かわからないが、燕を生かした事は確かだ。

しかし、好きとか嫌いとかを差し引いて、友達として泣くのは当たり前だな。

「私の事が好きでたまらないお前は泣かずにはいられなかった」

「二度も面倒な説明させるんじゃねえ!」

過去の話をしつつ、暴走妖魔をけり倒し地下一階に辿りつく。

誰がやったのかは不明だが、位置の直された龍の像がある。

入り口のドアや壁はさすがに直っていないようだ。

「やれ」

「脱げという意味か?仕方ないな、お前の頼みだ。聞いてやるぞ」

「寝言は寝てから言え」

余計な体力を使う前に南京錠を外して鉄槌を燕から奪い取る。

先ほどの痛みを龍の像に仕返す。

数分後には像は解体され、跡形もなく瓦礫と化した。
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