妖魔04~聖域~
妖魔も人間も、我が強いから譲り合うつもりはない。

テンプルナイツは、ただ狩りたいだけじゃないのか?

妖魔をそこらへんにいる動物と勘違いしているのか?

改革派の奴ら、人間を消せば何もかも終わりと思っているのか?

妖魔だけで地球にある汚染を全て浄化できるとは思えない。

「他の解決法を考えろっていうんだよ」

野球で対決をしたり、ボーリングで対決をしたり、陸上競技で対決したり、方法はいっぱいあるだろうに。

何で殺しあう方向に持っていきたがる。

違う種族だとしても、仲良くなれば素敵な寝顔が見れるのに、もったいない。

生きている内の、八割は損をしてるぜ。

何事もなく、龍姫の家に辿り着いた。

今のところ、怪しい雰囲気を感じ取る事はない。

吟もぐっすり休んでいるところ、周囲に危険がないというところだろう。

「すまねえ、遅くなった」

龍姫の部屋の中には、俺が出てきたときと同じ顔ぶれがいる。

「それは良いのじゃが」

だが、龍姫は沈んだ顔をしている。

「どうした?」

「クルト様がここを出て行かれました」

静かに告げた紅玉の一言は、俺の理解を止めた。

「えっと、何で?」

クルトが出て行く理由が解らない。

わざわざ苦労する世界に出て行ったというのか?

「クルト様は『ちっとも探そうとしねえお前の力なんか借りねえよ、バーカ』と仰っていました」

紅玉には不似合いな台詞だ。
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