妖魔04~聖域~
「待つのじゃ」

「え?」

俺が出て行こうとしたところで、龍姫の声で足が止まった。

「大切な者を連れて行くがよい」

龍姫がロベリアを指差している。

寂しそうな顔をしているロベリアがいた。

「そうか」

王子と呼んで慕ってくれた者を放置しっぱなしはいけない。

もう、吟と二人の時間は十分楽しんだ。

ロベリアが良いと言ってくれるのならば、これからまた共に行動しよう。

「ごめんな」

ロベリアの手をとって立ち上がらせると、微笑んでくれる。

OKなんだろう。

本当に悪い事をした。

「お星様、一度照らされた世界の輝きは簡単に失わない」

「ロベリアは強いな」

一人でも寂しくはないと言っているのだろう。

「これからは、ロベリアも楽しい事をいっぱいしていこう」

「その時はワラワも一緒じゃ」

大きな龍姫も傍にいる。

「そうだな、絶対にその時が来るようにやるっきゃナイト」

誓うように俺は龍姫の頭の上に手を置いて、髪を撫でる。

その前にチビを見つけるか。
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