妖魔04~聖域~
強い者が法律となって、島を仕切っているという事になるのか。

奪うものは物品だけに留まらず、命も含まれているだろう。

「隔離されていて出る事を許さない。閉鎖的な世界だったアル」

「でも、吟はここにいるよな?」

「多額の金を門番に支払うことが出来れば、出られる仕組みになってるアル」

吟なら、相手から金を巻き上げる事は容易に出来そうだな。

「入る事も難しいんじゃないのか?」

「入るのは容易に許可されているアル」

楽しむ目的が増えるのならば、人数が増えれば増えるほどいいわけか。

「耳触りのいい言葉だけ鵜呑みにして島に行くなんて、何考えてるんだよ?」

自分の力を過信しすぎているのか。

それとも、猛者達が集まっているという情報を聞き逃したのか。

どんな手段であれ金を稼ぐことが目的となっている。

だが、クルトは誰かに認められたいとも言っていた。

「よく考えてみたら、島の中から外に出る時に金を支払わなくちゃならないんだろ?無駄な労力になるじゃねえか」

「一割は懐に返却されるアル」

トータルがどれだけかわからないが、一割といっても相当な額になるに違いない。

「また猛者との相手をする事になるアルか」

「行きたくなくなってきたな」

クルトとは付き合いは短い。

最初は俺を殺しにかかってきた。

正直、追う必要はない。

だけど、クルトがどんな目にあうかわからない。

助けられるのに、助けないというのは、一番やってはならない。

ちゃんとお金の稼ぐ方法っていうのを、理解させてやらなくちゃならない。

間違いを頭に突っ込んだまま死んでいくのは、哀れすぎる。

一度入れば、俺達も中々出られなくなってしまうだろう。

ロベリアが言っている事は嘘ではないと思う。
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