妖魔04~聖域~
だが、途中で気が変わって別の場所に行ってしまい、俺達だけが島に閉じ込められることになったら、面倒な話である。

移動手段はどうしたんだ?

歩いて天国の島に向ったのか?

「天国の島って、どこらへんにあるんだ?」

「二、三向こうの県から船で渡ると、あるアル」

日本の近くに島が存在したのか?

「金がかかるんじゃないのか?」

「妖魔ならただアルよ。それなりに盛り上がるアル」

管理者は妖魔になるのかよ。

どうするか。

入れ違いというのならば、すぐに追いつけそうだ。

追い越してしまっても、島の前で待っていれば止めることが出来る。

「まったく手間がかかる奴だな」

手間のかかる奴ほど、世話をしたくなってしまう。

面倒じゃないといえば嘘になるが、共に旅をした仲間だ。

自分の子供のように思えてきて、匙を投げる気にはなれなかった。

「丞はオールラウンダーアルな」

「俺は凹凸があるほうがいいんだ」

ロベリアの両肩を持って吟の前に差し出す。

ロベリアぐらいの悩殺ボディーは最高の出来といってもいい。

マタニティーになったら、爆発的な凶器になることは間違いない。

実際は、妹の体なんだけどな。

それは言う必要はないので、黙っておく。

「王子様、慈悲深い心は世界を救う」

俺の煩悩に対して、素敵な言葉をありがとう。

「やり取りをしてる場合じゃねえ」

焦らなくてはならないほど、切羽詰まっている。

一歩遅れれば、時間のロスは免れない。

「丞、胸を張れアル。ビクついていたら挿入以前に誤射するアル」

「吟に言われると、ハートブレイクだぜ」

早漏と思われていたらどうしようという不安が胸に広がる。
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