妖魔04~聖域~

乗り込み

ロベリアと共に食後の運動を終えた吟は清々しい顔で電車を降りる。

駅員から警察に通報されていないようで、心も落ち着いていった。

下車した駅は長閑で、日差しも気持ち良い。

虫か鳥が、気持ちを落ち着かせる音色を奏でている。

旅行で羽を伸ばすというのなら持ってこいだが、ルンルン気分のドリルンルンで来たわけではない。

「ふぁあ、何だかここでゆっくりしたい気分だな」

長閑な田舎が天国だと言っても良いいいだろう。

「裸になって解放しても文句は言われそうにないアル」

牢屋行きになるだけだろう。

吟もわかっていたらしく、服を脱ぐことはない。

しかし、吟の横顔を見ると、落ち着く。

日差しの中にいる姿は女神といってもいい。

大げさといわれようとも、胸が高鳴るほど美しいのだ。

「ダイソンみたいな顔をしているアル」

何に吸い付きたいのかは皆までは言わない。

吟の顔が目の前にある事で、心臓が強く脈打った。

「いかんいかん。のほほんとしてる場合じゃねえんだ。吟、港は何処にあるんだよ?」

「アチシの脳みそを感じさせたら教えてやるアル」

「何てわがままっ子!」

難しい事を言い始める。

子宮ではなく脳みそって、レベルが高い。

しかも、外では大胆な事が出来ない。

そもそも、外で脳みそを感じさせること自体がおかしいのだ。

やらないと前には進みそうにないので、困った。
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