妖魔04~聖域~
でも、琴という大伯母が危ないという事がわかった。

「ロベリア、俺の後ろからついてこい」

「王子様、彼者は幸福と不幸の音を吹く」

ロベリアも解っているようで、素直に俺の言うとおりにした。

「にゃふう、不幸にゃあ。私は嫌いじゃないのに、嫌われたにゃあ」

「禍々しいオーラが悪いアル」

「どうしようもないにゃあ」

その時、上空から看板が落ちてくる。

看板の大きさは店の屋根などに飾ってあるようなものだ。

それを二人は避けて、何事もなく歩き始めた。

ありえないぞ。

嵐が吹いているなら解るが、風も穏やかでいきなり振ってくるなどないだろう。

今まではなかったところを見ると、琴に秘密があるのか。

自分を修行させるために、看板を上空から落とすような真似はしないだろ。

自分自身でも制御できない能力があるわけか?

琴と一緒にいることが危ないというのなら、裏ルートは着く前から命に関わるものなのではないのだろうか。

歩く事数分、船が並ぶ海の近くに到着する。

どの船も立派な物で、どれかで行くのか。

「にゃふう、これにゃあ」

猫が立った前に浮かぶものは、いかにも古そうな漁船らしき物だった。

ところどころに修復作業を行った後がある。

嫌な予感は大当たりだった。

前回、吟が行った時も、色々とやらかしたのだろう。

「修理するのに、一週間はかかったにゃあ」

泣き真似をするところ、相当な努力があったに違いない。

「アチシは楽しかったからいいアル」

「吟ちゃんは修理を手伝わなかったにゃあ」

恨めしそうな眼で吟を見ているが、無視。

「にゃふう、思い出すだけで憂鬱にゃあ。一人で修理する日々は不幸だったにゃあ」
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