妖魔04~聖域~
クルトを見つけ出すにも時間がかかるだろうから、多く見積もっても二週間はかかる。

どこかに抜け道があれば、一週間もかからずに抜け出せるはずなんだがな。

「島が見えてきたにゃ!」

ちょっとしたスリルも終わりを向えそうだ。

「でも、島を見てると気持ちがブルーになってきたにゃあ」

「大丈夫だって、今回は船も壊れてないだろ?」

何も話してないのに、ブルーになられても困るんだがな。

「にゃふ、でも、ああ、あの日々が嫌にゃああ!」

どんなトラウマを背負ってるんだよ。

天国の島にトラウマを背負ってるなら、簡単に承諾するなよ。

地獄の底から聞こえてくるような、海の荒れた音が聞こえてくる。

俺は外に出て見ると、渦潮に船がジワジワと巻き込まれてるじゃないか。

「無駄な試練だな!おい!」

隣にはロベリアまで物珍しそうに見ている。

「くそ、危ない!」

大きく揺れる船。

直に船は終わる。

しっかりしていない足場にロベリアの体は倒れこむ。

「大丈夫か!」

何で外に出たのか解らないが、支えてやらなくちゃならない。

「吟!」

だが、返答はなく船の中にはすでにいなかった。

「げえ!逃げたのかよ!」

先に逃げたけど好きだぞと叫びたくなる。
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