妖魔04~聖域~
「瑠璃子ちゃんの事ですか?」

「退魔師かどうかを聞いている」

「多分、そうですけど、どうかしたんですか?」

怪訝な顔で俺に尋ねる。

後々の事を考えて、場所を聞いて始末しておくか?

今なら片腕のみで、有利なのは俺だ。

だが、目立つ行動は出来ない。

「何でもない」

待機の命を破るわけにも行かず、俺は去ろうとする。

「あの」

今度は、千鶴が俺に声をかけてきた。

「何だ?」

「今、暇ですか?」

女は何を考えているのか。

今の態度で行くならば、遠ざかるのが当たり前の行動だ。

「行く当てはない」

「良かったら、一緒に街を歩きませんか?」

初対面同然の俺を誘うとは、度胸は在るといっていい。

「実は、友達にキャンセルされちゃって、よろしければでいいんですけど」

「俺はお前の友達じゃない」

「そう、ですか」

千鶴は俯き、残念そうな顔で立ち去ろうとする。

「待て。やはり、お前と行こう」

しばらくは街に待機となれば、周囲に何があるか知っておく事も重要だ。
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